諏訪ブランドオルゴール - MusicBox made in SUWA,Japan

ジャパンブランド エキシビジョン in Paris 三越エトワール 出展レポート

JAPANブランド全国事務局(日本商工会議所・全国商工会連合会)主催によるJAPANブランド育成支援事業に取り組む産地の商品について、パリで専門展示会を開催することにより、現地バイヤー・流通事業者とJAPANブランド参画事業者とのマッチングを実施し参画事業者の海外市場での販路開拓・推進をすることを目的とする。

調査・指導名:パリ現地バイヤー等による試作品評価、新商品提案

実施年月日:平成23年1月19日・20日

調査員氏名(役割): 諏訪湖オルゴール博物館 奏鳴館 館長代行 山﨑克弘(プロジェクトリーダー)
牛山喜雄・宮本克紀・加藤亨・清水義樹

調査対象先の概要:三越エトワール 3 Rue de Tilsitt 75008 Paris, France

①フランス市場におけるオルゴール商品の現状

展示の様子1

・最大のオルゴール市場であるアメリカが、様々な品にオルゴールを組み込むアプリケーションを受け入れ、大量に仕入れる土壌があったのに対し、欧州市場では本物志向が強く、また、大手ギフトサプライヤーが少ない為、オルゴールを付けたギフトが広まらないと言われていた。

・Sankyo 時代にオルゴール販促で私が訪問したフランスのユーザー「Berchet」「Vulli」「Educalux」「Lardy」「Favre」「Trousselier」各社は主にベビー向けナーサリー・TOYのメーカー・商社で、事前のヒヤリングでもフランス市場では「オルゴール=赤ちゃん」とのイメージであった。

・出張期間に廻ったパリ市内のお土産屋には8€前後の極めてチープな中国製オルゴール商品が置かれていた。

②今回のオルゴール提案の目的と反応

展示の様子2

・オルゴールの多様な曲目との組み合わせでメッセージ性を高めたギフト「①Gift Box」「②MiniBag」の提案、音質追求と聴き方(音を体感)に重点を置き開発した「③体感BOX」によるオルゴールの新たな可能性の提示、男性向け、または教材向けの「④シャボン玉」からくりキット等、日本国内の展示会でも高評価を得た試作品のフランス市場(デザインや機能に対し厳しい目を持つ)での評価と商品化への改善策を得ることを目的とした。

・3F 階段上り口に設置した「③体感BOX」と商談コーナー展示の2か所に出展した相乗効果もあり、予想以上に反響があり、当初予約の14 件をはるかに超え、40 件近い商談があり、対応は多忙を極めた。

「③体感BOX」は体験していただいたほとんどの方から「教会のパイプオルガンの響きのよう」「癒される」と音の良さに高評価で、購入希望もあった。教会やミュージアム、病院などに置いてみてはとの提案も受けた。

・フランス市場(特にパリ)における物価は日本の1.5 ~ 2 倍とみられ、今回提示のギフトアイテム「①Gift Box」「②Mini Bag」は商談者の人気も高く、リーズナブルな価格(下代)と評価された。

・商談相手は小売店や企業向けギフト扱いが主体であった為、既存デザインで50 ~ 100 ヶでの曲目アソート対応は有効であった。但し、オリジナルデザインを受ける際の条件:最小ロット3,000 ヶは大きすぎた。

・予想以上に日本の伝統的な文化・芸能・工芸、あるいは最近の流行も取り込みが盛んであり、和にこだわった「①Gift Box 和風」は特に好評であった。曲目の引き合いは商談者により和曲/ジブリ等人気のアニメ曲/クラシック・ポピュラーソングにはっきりと分かれた。

③商品受け入れの可能性と今後の展開

展示の様子3

・「①Gift Box」「②Mini Bag」は既存品での曲目アソート対応は即可能。曲による現地での著作権対応の提言、オリジナルデザインの少ロット対応を可能にすることが今後の課題となり、現在検討中である。

・「③体感BOX」は設置の可能性がある施設のリサーチとデザイン・機能等オーダーメイド的な対応が必要。国内では数件のオルゴール館より引合いもある洋風なデザインであるが、フランス向けには、日本の伝統工芸的な純和風な仕上がりが求められる。

・「④シャボン玉」は今回、試作価格での提示であったが、数社より引合いがあり、全体の生産量設定と外観や機能、キットとしての組立性も含め再設定が必要である。また、教材市場をターゲットにすると、故障した場合の修理等のアフターケアも課題となる。

・どの製品もフランスでの商品展開の可能性は高いとの評価をいただき、より技術を前面に出し、フランスのデザインとマッチさせる製品開発の方向性を見出すことができた。今回のフォローと継続的なPR が重要となる。

・現状で、フランス市場でオルゴールを販売し、ビジネスとして成立させるためには、ディストゥリビューターやエージェントを見出し連携することが今後の重要な課題となる。